日本遺産鐵の道文化圏「出雲國たたら風土記」
雲南市
地域の魅力を地域の人が発見できることを目指して
【経営課題】
日本刀に欠かせない鉄は「玉鋼」と呼ばれ、その製鉄技術の「たたら」はジブリアニメもののけ姫でも広く知られるようになった。たたら製鉄の発祥の地と言われるこの地域一帯は、奥出雲町、雲南市、安来市に別れているが、和鉄づくりを基に発展してきた一つの文化経済圏である。豊かな木材で薪や炭を作り、豊富な水源を利用して、地形を変えるほど砂鉄を掘り、全国に良質の玉鋼を供給してきた。この地方で語り継がれるヤマタノオロチ伝説も、一連の開発に伴う自然災害が元になっていると言われている。
しかし、地形を変えるまで山を崩し荒れた土地に暮らす人々は、土地を守る人でもあった。荒野にそばを蒔き、肥沃な土地に改良しながら稲を育て、何百年にもわたって一帯の棚田の風景を作り、出雲にそばの文化を定着させた。
この鐵の道文化圏は、歴史、伝説、景観、食文化、温泉など、和鉄だけではない観光資源のポテンシャルを秘めた魅力的な日本遺産である。地域文化の発信に於いて、いかに関心を高めることができるかが課題であり、関係人口の増加をキーワードに、地域を巻き込んださまざまなアプローチが試みられてきた。